☆★☆ 弓兵くんと士郎くんのちょっとした話  その3 ☆★☆

 

今日はバレンタインデー。
なんか、クラスの女史も男子もそわそわしてる。
まぁ、日本のバレンタインデーが女性限定のイベント状態になっているから、女子は『チョコをどうやって贈るか』って感じでそわそわしてるし、男子は『チョコが貰えるかどうか』って事でそわそわしてる。

正直、帰国して初めてのバレンタインデーの様相に、俺、衛宮士郎はちょっとだけ困惑していた。

去年までは、家族全員で養父である切嗣の友人宅にホームステイするような形でアメリカに居たから、当然バレンタインはアメリカ流。
つうか、海外流?
贈り物はチョコに限定じゃなければ、贈る側も女性限定じゃない。

むしろ、男の方が女性に送る率のほうが高かった気も……

まぁ、それに関しては俺は子供だったから、深く考えなくていいだろう。
とにかく、自分の選んだ品(主にバラのような花が中心)を、感謝を込めて贈り合うのが例年の事だった。
だから、日本に帰って来てこのお祭り騒ぎのような雰囲気に、ちょっとだけ俺は引いてしまう。

だって、なんか一部の女子達が殺気立ってる気がして、凄く怖いんだよ。
うん、俺は別のへタレとかじゃないぞ?
冗談抜きで、あの雰囲気は近寄りがたいと思う。

んで、俺の通ってる学校は割りとそういう事に寛大みたいで、授業中とかに食べたり周囲に迷惑を掛けないようにしていれば、特に注意はしないらしい。
何でも、生徒会と学校側の交渉でそう決まったとか。
だからなのだろうか?
学校に来る早々、下駄箱の中にチョコが入ってる光景を何回か見た。

……衛生的に考えて、余りお勧めできない方法を使ってるよな……

なんて、他人事のように思うのは、俺にはそう言うことは一切無かったから。
まぁ、2週間前に転校してきたばかりの俺にチョコをくれると言う、奇特な女子はいなかったのだろうから、特に気にはしない……と言いたいんだけど……
それでも、俺の機嫌はあまり良くなかった。

その理由は、俺の右隣の席に座っている、一緒に転校してきたはずの一応兄弟扱いのアーチャーにあった。

アーチャーは、俺とおなじ条件のはずなのに、なんでか既にチョコを幾つか貰ってるんだ。
外見だって肌などの色以外は一緒のはずなのに、この落差はちょっとだけ凹む。
まぁ、外見から受けるイメージが東南アジアやアフリカ系で、名前も外国風なのが女子に受けているのかもしれないけど。

それでも、この落差だけはいただけない。
別に、チョコなんかもらえなくても構わないけど、何となく気に入らないのだ。
うん、アーチャーにチョコを贈る女子たちが気に入らない訳じゃないぞ?
ま、アーチャーからバレンタインの贈り物をもらえるのは俺と切嗣だけだし、毎年凝ったお菓子を貰ってるから、良いとしようかな。
あ、俺が贈るのもアーチャーと切嗣だけだけどな。

そんな事を考えつつ、俺は今日という一日を不機嫌なままで過ごしたのだった。


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