☆★☆ 行き着いた先は・・・? < 第4次聖杯戦争 終了直前へ落下 > ☆★☆
あの時、あの場での俺が下した判断は、間違いじゃなかったと思っている。 でもさ、その代償が俺にとってトラウマに近い記憶でもある、あの『第四次聖杯戦争』の終了直後って、どうなんだろうか? 今までの経験から、酷く動揺したりする事はなくなったけれど、それでも目の前に広がる光景は、見ているだけでこちらにも辛いものがあった。 ここまで見るまで、全く気が付かない俺もおれだけど……これ、まだ完全に終わっていないんじゃないのか? まだ、アレが空に浮かんでいるなら、切嗣の令呪によってセイバーが『約束された勝利の剣』を使う前だって事になる。 あの時、俺のことを救ってくれたアーチャーの様に。 俺にとって、あの時アーチャーの存在がどれだけ心の救いになったか。 幾ら助けを求められても、まだ幼く瓦礫の一つも持ち上げる力のない子供に、何が出来ると言うのだろう? 彼らからすれば、文字通り『藁にもすがる思い』だったかもしれない。 まして、その対象が同じ災害に巻き込まれた被害者なら、単なる八つ当たりでしかないじゃないか。 大体、だ。 これ程の大災害では、人命救助よりつい自身の身の安全を優先させたとしても、仕方がないとみなされる。 更に付け加えるならば、これは『聖杯戦争』であり『魔術師』たちの手で引き起こされた災害であり、様々な魔術行使の隠蔽の為に打たれた手によって、まともな救助活動が出来るのかすら怪しい状況で。 『魔術師』は、魔術を用いた研究など目的を果たすためならば、ある程度まで一般人の被害は許容するからな。 一番の証拠隠滅とは、目撃者を居ない状態にすることだろうから。 特に、判断能力が有るとみなされる大人は生き残らない方が、彼らには都合が良いだろう。 そんなことを頭の中で考えつつ、俺は『衛宮士郎』の姿を探した。 歩きにくい瓦礫の中を走りながら、俺はそれだけを考えていた。 その間、ただ走り抜けただけじゃない。 もちろん、目撃されても言い訳が出来るように、まるで布槍術と思わせるモーションを幾つか見せての使用だが。 ただし、俺も【人を探す】と言う目的を持ってこの劫火の中を走り回っている状態なので、瓦礫の山から救助した相手は簡単な応急処置をした上でそこに放置するしかない。 なにせ、俺が救助した人々の大半が瓦礫によって生き埋めになっていても、直接瓦礫に押しつぶされている場所は僅かだった為に比較的軽症で、応急処置をすれば何とか自力で動けなくもない者たちばかりだったから。 嘗て……俺が受けた大災害での一番の被害は、周り一面を埋め尽くすような業火によって齎されたものだ。 生き埋めになった状態のまま街を飲み込む業火に飲み込まれ、逃げる事も出来ずに生きたままその身を焼かれたから。 だから、その状態から何とか解放した人間たちが、自力で動ける可能性があるのならば、生き残れる可能性は一気に上がるだろう。 救助を待てない状況下である以上、軽い応急処置を受けてもなおその場に蹲ったまま自力脱出を試みないのは、自分で死を選んだに等しい。 そんな相手に、誰かを恨む資格などない。 だって……そうだろう? そうして……業火の中を捜して歩いた結果、漸く『衛宮士郎』の事を見付け出した。 今にでも、倒れてしまいそうに見えたから。 俺の予想は、間違いじゃ無かったらしい。 困った事に、俺は『あの時記憶』をハッキリ覚えて居ないので、自分の身体がどういう状態だったのか判らないから。
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